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相続放棄は年間30万件超|親の負債を放棄した自分が知っておきたかったデータ

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相続放棄は年間30万件超|親の負債を放棄した自分が知っておきたかったデータ

最近、中山美穂さんの遺産をめぐる相続放棄のニュースが大きな話題になりました。Xでは「相続税が高すぎる」「放棄せざるを得ない」といった声が数万件単位で飛び交っています。

実は自分も、数年前に親の相続放棄を経験しています。

催促の手紙が届き、知らない人が家を訪ねてくる。自分の負債ではないので聞かれても答えられない——あの時期は、正直しんどかったです。

「自分だけが特殊なケースなのか?」と思っていましたが、データを調べてみると、相続放棄を選ぶ人は年間30万件を超えていました。この記事では、司法統計のデータと自分の経験をもとに、相続放棄の実態を整理します。


相続放棄は年間30万件を超えた

最高裁判所の司法統計によると、家庭裁判所に申し立てられた相続放棄の受理件数は、2024年に年間30万8,753件に達しました。

年次相続放棄受理件数死亡者数放棄率(件数/死亡者数)
2004年約10.8万件約102万人約10.6%
2010年約15.6万件約119万人約13.1%
2016年約19.8万件約130万人15.1%
2019年約22.5万件約138万人16.3%
2021年約25.2万件約144万人17.5%
2023年約28.3万件約158万人17.9%
2024年約30.9万件

出典:最高裁判所「司法統計(家事事件編)」各年度、厚生労働省「人口動態統計」

20年前は約11万件だった受理件数が、約2.8倍に膨れ上がっています。

注目すべきは、死亡者数の増加ペース(約1.5倍)よりも、相続放棄の増加ペース(約2.8倍)が大幅に上回っている点です。単に「亡くなる人が増えたから」ではなく、相続が発生したときに「放棄を選ぶ人」そのものが増えているということです。


なぜ相続放棄が急増しているのか

相続放棄が増えている背景を整理します。

1. 負債の承継回避

最も多い放棄理由は、被相続人が残した借金やローンの継承を避けることです。

消費者金融からの借り入れ、事業上の連帯保証、未払いの税金や社会保険料などが該当します。特に、故人と疎遠だった場合は「どんな負債があるか分からない」ため、リスク回避として放棄を選ぶケースが多くなっています。

2. 「負動産」の問題

近年の急増を支えているのが、不動産を「資産」ではなく「負担」として手放すケースです。

民間調査によると、実家の相続を放棄したい理由の上位は以下の通りです。

順位理由
1位相続・相続後にコストがかかる(固定資産税、修繕費等)
2位資産価値が低い(売りたくても買い手がつかない)
3位管理の負担(空き家リスク、近隣トラブル)

出典:PR TIMES「実家の相続を放棄したい理由ランキング」(経験者201人調査)

地方の実家を相続しても、維持費がかかる一方で売却も難しい。所有し続けること自体がリスクになる「負動産」の問題は、今後さらに深刻化すると見られています。

3. 相続登記の義務化(2024年4月施行)

2024年4月から、相続登記が義務化されました。これまで放置していた不動産の名義変更を迫られた結果、「管理コストや税負担を考えると、要らない」という決断をする人が急増しています。

2024年に受理件数が30万件を突破した背景には、この義務化の影響も含まれていると考えられます。


相続放棄の手続きの実態

「放棄の手続きは難しいのか?」——これは自分も不安に思っていたポイントです。データを見ると、手続き自体のハードルは高くありません。

却下率はわずか0.13%

年度既済事件数却下件数却下率
2019年222,924件538件0.24%
2021年252,181件363件0.14%
2023年281,681件395件0.14%
2024年309,375件402件0.13%

出典:最高裁判所「司法統計(家事事件編)」各年度

申し立てればほぼ受理されます。相続放棄は書面審理が中心の手続きで、形式的な要件が整っていれば裁判所は認める傾向にあります。

処理期間:74%が1ヶ月以内

2023年度のデータでは、受理された事件の約74%が1ヶ月以内に、約97%が3ヶ月以内に処理されています。思ったより早い、というのが正直な印象です。

ただし期限がある:3ヶ月ルール

相続放棄には「相続の開始を知った日から3ヶ月以内」という期限があります。この「熟慮期間」を正当な理由なく過ぎると、却下されるリスクがあります。

自分の場合は、弁護士から「亡くなったらすぐに提出するように」と言われていたので間に合いましたが、正直、3ヶ月という期限の重要性を十分に理解していたかと言えば怪しいです。


自分が相続放棄を経験して感じたこと

データだけでは伝わらない部分を、自分の経験から補足します。

親が負債を隠していた

親が亡くなる前から催促の手紙は届いていたようですが、親がそれを隠していたため、家族は負債の存在を知りませんでした。

負債の数が多く、実数がつかめない。しかも年単位の利息が雪だるま式に膨らんでいる——この状況を知ったとき、放棄以外の選択肢はありませんでした。

知らない人の訪問

相続放棄の手続きが完了するまでの間、心当たりのない訪問者がインターホンを鳴らすことがありました。弁護士からも親からも「出なくていい」と言われていたので対応しませんでしたが、精神的にはかなりきつかったです。

手続き自体はシンプルだった

手続きは、残された家族がそれぞれ個別に書類を作って家庭裁判所に送付する、というものでした。弁護士の知り合いがいたので、やり方を教えてもらえたのは大きかったです。

放棄が認められた後は、催促の手紙も訪問もなくなりました。「嫌な気持ちになるものから解放された」というのが、一番正直な感想です。

振り返って思うこと

もし当時、この記事のようなデータがあったら、「自分だけじゃないんだ」と少し楽になれたかもしれません。年間30万件という数字は、それだけ多くの人が同じような状況に直面しているということです。


限定承認という選択肢もあるが、利用はごくわずか

相続放棄の他に「限定承認」(プラスの財産の範囲内でマイナスを引き継ぐ)という選択肢もありますが、利用件数は極めて少ないのが現状です。

年度限定承認相続放棄
2016年753件197,656件
2020年675件234,732件
2023年688件282,785件

出典:最高裁判所「司法統計(家事事件編)」

限定承認は「相続人全員の共同申述」が必要で、手続きも複雑です。相続放棄は「単独」で行えるため、実務上はほとんどのケースで相続放棄が選ばれています。


相続放棄を検討している方へ

データと自分の経験を踏まえて、伝えておきたいことがあります。

催促の手紙が届いたら、捨てずにすべて保管してください。弁護士や司法書士に相談するとき、そのまま資料になります。知らない訪問者が来ても、出る必要はありません。自分もそうしていました。

そして、一人で抱え込まないこと。自分は知り合いの弁護士に教えてもらえたから助かりましたが、相談先がなければもっと追い詰められていたと思います。

手続き面で見落としやすいのは3ヶ月の期限です。亡くなった後は葬儀や手続きに追われて、相続放棄のことまで頭が回らない。でも期限は待ってくれません。それと、相続放棄は個人単位の手続きなので、家族全員がそれぞれ申し立てる必要があります。

相続全般の手続きについては親が亡くなったらやること完全ガイドで時系列に整理しています。また、相続税がかかるかどうかの判断基準は「うちは相続税、関係ないでしょ?」が危険な理由を参考にしてください。

相続税の課税割合が年々上昇している実態は、相続税は10人に1人の時代へ|都道府県別の課税割合データにまとめています。「うちはいくらになるのか」を概算で確認したい方は、相続税かんたんシミュレーションも用意しています。

相続放棄の申し立てはどこにする?

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。必要書類は裁判所のウェブサイトで確認できます。

相続放棄をしたら不動産はどうなる?

全ての相続人が放棄した場合、相続財産清算人が選任されて処分されます。2024年には清算人の選任件数が28,331件に達しています。

相続放棄の費用は?

家庭裁判所への申述費用は収入印紙800円+郵便切手代程度です。弁護士や司法書士に依頼する場合は別途報酬がかかります。


この記事で引用したデータの出典:

エム

エム

IT業界で10年以上の実務経験を経てフリーランスに。青色申告・開業届・相続手続き・資産運用など、お金まわりの実体験をもとに発信しています。

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