Essential Posts 暮らしに役立つお金・フリーランス・集客の情報メディア

最高55%・控除は米国の1/50|日本の相続税は世界一高い【2026】

相続 |
シェア
最高55%・控除は米国の1/50|日本の相続税は世界一高い【2026】
この記事のポイント
  • 日本の相続税は最高税率55%で主要先進国トップ。基礎控除4,800万円に対し米国は約24億円と約50倍の差
  • 資産10億円のケースで日本は約2.9億円課税、アメリカは免税枠内で納税額ゼロという圧倒的な格差がある
  • イギリスは基礎控除を17年間据え置きの「ステルス増税」。2030年まで据え置き継続が決定済み
  • 日本の課税割合は2024年に10.4%と初の1割超え。配偶者控除・小規模宅地特例の正しい活用が負担軽減のカギ

日本の相続税の最高税率は55%で、主要先進国のなかで最も高い水準です。一方、アメリカでは2025年の法改正により約24億円まで非課税となり、日本との格差がさらに広がりました。

この記事では、日本・アメリカ・イギリスの3カ国の相続税制を、税率・基礎控除額・資産規模別の納税額シミュレーションで比較します。「日本の相続税は本当に高いのか?」をデータで検証します。


3カ国の相続税率と基礎控除額を一覧で比較すると?

結論から言うと、日本は「税率が高く、控除額が小さい」という二重の負担構造です。

項目日本アメリカ(連邦)イギリス
最高税率55%(8段階の累進)40%(定率)40%(定率)
基礎控除額4,800万円(配偶者+子2人の場合)約23.9億円(1人あたり$15M)約1.1億円(NRB+RNRB合算)
夫婦合算の控除なし(配偶者控除は別制度)約47.7億円約2.1億円
課税方式法定相続分課税方式遺産課税方式遺産課税方式

出典:国税庁、IRS(米国内国歳入庁)、HMRC(英国歳入関税庁)の各公式資料。為替レートは2026年4月時点(1ドル=159円、1ポンド=211円)で換算

日本の基礎控除4,800万円に対し、アメリカは約23.9億円。約50倍の差があります。


アメリカの「24億円まで非課税」は本当か?

本当です。2025年7月に成立した「One Big Beautiful Bill Act(OBBBA)」により、連邦遺産税の免税枠が大幅に拡大・恒久化されました。

年度1人あたりの免税枠日本円換算根拠法
2024年$13,610,000約21.6億円TCJA(インフレ調整)
2025年$13,990,000約22.2億円TCJA(インフレ調整)
2026年〜$15,000,000約23.9億円OBBBA(恒久化)

出典:Morgan Lewis「Estate Tax Alert: New $15 Million Federal Exemption Becomes Law

さらに、夫婦であれば「ポータビリティ」という制度を使い、先に亡くなった配偶者の未使用枠を引き継げます。結果として、夫婦合算で約47.7億円($30M)が非課税になります。

ただし注意点があります。アメリカには連邦税とは別に州レベルの遺産税・相続税を課す州が存在します。

州名種類免税枠最高税率
オレゴン州遺産税$1,000,000(約1.6億円)16%
ワシントン州遺産税$2,193,000(約3.5億円)20%
ニューヨーク州遺産税$7,350,000(約11.7億円)16%

出典:Mercer Advisors「Which States Have Inheritance Tax

「アメリカは非課税」という話は連邦税に限った話であり、居住する州によっては数億円規模でも課税されます。


イギリスの相続税はなぜ「ステルス増税」と呼ばれるのか?

イギリスの相続税(Inheritance Tax)は一律40%。税率だけ見ると日本より低いですが、基礎控除額が2009年から17年間据え置きされています。

項目金額日本円換算
基本控除(NRB)£325,000約6,860万円
居住用追加控除(RNRB)£175,000約3,690万円
1人あたり合計£500,000約1億550万円

出典:GOV.UK「Inheritance Tax — thresholds

物価と住宅価格が上昇し続けるなか、控除額を固定し続ける。これが「ステルス増税」と呼ばれる理由です。イギリス政府は2030/31年度まで控除額を据え置くことを発表しており、課税対象者は今後さらに増加すると見られています。


同じ資産でも、国によって税額はどれだけ違う?

法定相続人が子ども2人の場合のシミュレーションです。

資産総額日本の納税額アメリカ(連邦)の納税額イギリスの納税額
5,000万円20万円0円0円
2億円3,340万円0円約3,780万円
10億円2億8,600万円0円約3億5,780万円
30億円12億3,100万円約2億4,600万円約11億5,000万円

前提:日本は基礎控除4,800万円・小規模宅地特例なし。アメリカは連邦税のみ(州税なし)。イギリスはNRB+RNRB適用。為替は2026年4月時点

資産10億円のケースが象徴的です。日本では約2.9億円、イギリスでは約3.6億円の税金がかかる一方、アメリカでは免税枠内のため納税額ゼロです。

この差は「国としての考え方の違い」を反映しています。

  • 日本: 富の再分配を重視。少子高齢化に伴う社会保障費の財源として課税ベースを広げる方向
  • アメリカ: 資本の蓄積による経済の活力維持を優先。次世代への円滑な資産移転を後押し
  • イギリス: 控除額の据え置きによる消極的な増税。財政再建を優先

相続税がない国はどこ?

OECD加盟国のうち、相続税・遺産税をそもそも課さない国が複数あります。

国名廃止年備考
オーストラリア1979年連邦・州ともに廃止
カナダ1972年みなし譲渡益課税(キャピタルゲイン税)で代替
ニュージーランド1992年完全廃止
スウェーデン2005年IKEA創業者の国外脱出等が背景
オーストリア2008年違憲判決を受けて廃止
ノルウェー2014年富裕税は存続

「相続税がない=資産移転が完全に非課税」とは限りません。カナダのようにキャピタルゲイン税で実質的に課税するケースもあります。


日本の相続税は今後さらに上がるのか?

2015年の基礎控除引き下げ以降、日本の相続税の課税割合は年々上昇しています。

課税割合
2014年(改正前)4.4%
2015年(改正後)8.0%
2020年8.8%
2024年10.4%

出典:国税庁「令和6年分 相続税の申告事績

約10人に1人が課税対象となった現在、追加の改正の議論が進む可能性があります。

  • 暦年贈与の持ち戻し期間は2024年以降、3年から7年に延長済み
  • 教育資金一括贈与の非課税制度は終了
  • 社会保障費の増加により、課税ベースの縮小は考えにくい

まず自分の場合はどうか?を確認する

国際比較で見ると日本の相続税は高い水準にあります。しかし、配偶者控除(1.6億円まで非課税)小規模宅地等の特例(土地評価額80%減)を正しく使えば、実質的な負担を大きく下げることは可能です。

まずは「自分の家の場合、いくらになるのか」を把握するところから始めてみてください。


日本の相続税率は何%?

10%から最高55%の8段階の累進税率です。6億円を超える法定相続分に対して最高税率55%が適用されます。これは主要先進国のなかで最も高い水準です。

アメリカで相続税がかかるのは資産いくらから?

2026年以降、連邦レベルでは1人あたり$15,000,000(約23.9億円)を超える遺産に対して課税されます。夫婦の場合、ポータビリティ制度を使えば約47.7億円まで非課税です。ただし、州レベルで別途遺産税がかかる場合があります。

相続税がない国に移住すれば非課税になる?

日本の税法では、相続人または被相続人のいずれかが日本に居住している場合、世界中の資産が課税対象になります(全世界課税方式)。過去15年以内に日本での居住歴がある場合も対象となるため、移住だけで非課税にすることは現実的には困難です。


この記事で引用したデータの出典:

エム

エム

IT業界で10年以上の実務経験を経てフリーランスに。青色申告・開業届・相続手続き・資産運用など、お金まわりの実体験をもとに発信しています。

シェア

特設ページ

子育て中のお金の不安、FPに無料相談して「見える化」しませんか?

教育費はいくら必要? 住宅ローンの繰り上げ返済はすべき? 夫婦で話し合っても答えが出ない不安を、国家資格を持つFPに無料で相談できます。

物価高で家計が苦しい…その悩み、プロに無料で相談できます。

総務省の家計調査によると、2023年以降の食料品価格は前年比+4〜6%で推移。年間の食費だけで約5〜8万円の負担増が、多くの家庭にのしかかっています。「なんとかしなきゃ」と思いつつ、何から手をつけるべきかわからない。そんなとき、国家資格を持つFP(ファイナンシャルプランナー)に無料で相談できるとしたら?

40代・50代のためのお金の相談窓口 「老後のお金、大丈夫だろうか」その漠然とした不安を、数字で安心に変えませんか。

人生の折り返し地点を過ぎた頃から、ふと頭をよぎる「将来のお金」への不安。老後2000万円問題、年金の受給額、退職後の生活費――漠然とした心配を抱えたまま過ごすのは、心身ともに大きな負担です。国家資格を持つファイナンシャルプランナーに無料で相談し、「見えない不安」を「見える安心」に変えてみませんか。

相続のお悩みに寄り添うマッチングサービス 親が亡くなった。悲しむ間もなく、手続きが押し寄せてくる。

やるべきことには、順番があります。そして、一人で抱え込む必要はありません。

相続税の「かかるかどうか」を無料で確認 実家の土地と預貯金を足してみてください。3,600万円、超えていませんか。

相続税、「かかるかどうか」を確認したことはありますか。確認は無料。1分で相談できます。

相続放置のリスクと今からできること 「そのうちやろう」と思ったまま、何ヶ月経ちましたか。

相続税の申告期限は、亡くなった日から10ヶ月。でも、今日動き始めれば、まだ間に合います。

おすすめ記事

「老後2000万円」は本当に必要?不安を『自分の数字』に変える3ステップ

老後2000万円問題の正体を解説し、自分に本当に必要な老後資金を計算する3ステップを紹介。iDeCo・新NISA・個人年金保険の比較と、プロへの相談という選択肢もまとめました。

お金の不安を「数字」に変える方法|教育費・家計・老後資金をFPに無料で相談するという選択肢

教育費、家計の見直し、老後資金――漠然としたお金の不安は「数字で見える化」することで具体的な対策に変わります。FP無料相談の仕組み、メリット、注意点を世代別に解説しました。

親が亡くなったらやること完全ガイド|生前準備から相続手続き・放置リスクまで時系列で解説

相続の手続きを「生前準備」「発生直後」「数ヶ月経過・放置」の3フェーズで時系列に解説。何から始めればいいかわからない方に向けて、やるべきことの全体像と適切な相談先をまとめました。

2027年から青色申告はどう変わる? — 75万円控除を受けるための条件と22年ぶりの改正全容

2027年から施行される青色申告改正の方針で、紙申告の控除は大幅減額、e-Tax利用で75万円の新区分が設けられる見込みです。22年ぶり改正の全容と、75万円控除を受けるための3つの条件、会計ソフト選びまで実務ベースで解説します。