会社員が生成AIを3年使ってわかったこと。仕事は奪われず、手が届く範囲が広がった
この記事のポイント
- 一番大きな変化は効率化ではなく「気を使って人に聞く必要がなくなった」こと
- 専門外の作業でも及第点が出せるようになり、複数人でやっていた仕事が一人で完結するようになった
- 作業をAIに任せた分、分析・改善・企画という「その先のスキル」に手が届くようになった
- 一方でデザインなど「頭にあるものを形にする」領域は今でも難しい。万能ではない
生成AIを仕事で使い始めて3年ほどになります。きっかけは、ChatGPTが話題になった頃に会社で企業向けのChatGPTが使えるようになったこと。特別な準備をしたわけではなく、「会社で使えるようになったから使ってみた」という、よくある入り方です。
結論から言うと、この3年で仕事を奪われた実感はありません。代わりに起きたのは、自分の手が届く範囲が広がるという変化でした。この記事では、Web業界でクリエイティブ系の仕事をしている会社員の実例として、何が変わって何が変わらなかったかを正直に書きます。
一番大きかった変化は「人に聞かなくてよくなった」こと
効率化よりも先に、精神面の変化が来ました。
AI以前の職場では、分からないことがあると誰かに聞くしかありませんでした。ただ、これが地味にストレスで。
- 気難しい人に、仕事の分からないことを聞きに行く
- 忙しそうな人の作業を遮って、質問のタイミングを伺う
- 「こんな初歩的なことを聞いていいのか」と迷って後回しにする
生成AIが来て、この気疲れがほぼ消えました。AIは何回聞いても嫌な顔をしないし、初歩的な質問を恥じる必要もない。「できなかったことができるようになった」という機能面の進歩より、気を使って人に聞く必要がなくなったことのほうが、日々の実感としては大きかったです。
検索の仕方も変わりました。以前は検索結果を何ページもたどってやっと答えかヒントに辿り着いていたのが、いまは聞けば直接答えが返ってくる。私はもともと分からないことを逐一検索する癖があったので、「検索する」が「AIに聞く」に置き換わっただけで、移行に違和感はありませんでした。
専門外でも「及第点」が出せるようになった
仕事面で最も大きい変化はこれです。
私の本業はクリエイティブ系ですが、仕事では専門外の作業が発生します。以前なら誰かに頼むか、時間をかけて調べながらやるか、諦めるかの三択でした。いまは専門外のことでも、AIと一緒にやれば及第点くらいのものが出来上がります。
この「及第点が出せる」の積み重ねが、働き方を変えました。
- 自走できる範囲が広がった。些細なことで人を待つ必要が減り、一人で前に進められる
- 複数人でやっていた仕事が、一人で完結することが増えた
- 思いついたことがすぐアウトプットになる。アイデアを形にするまでの距離が縮んだ
そして一番意外だったのは、その先です。作業をAIに任せられるようになると、浮いた時間と余力が分析・改善・企画といった「その先のスキル」に回るようになりました。たとえば文章を書く作業をAIに任せれば、自分は「何を書くべきか」「どう改善するか」を考える側に回れる。仕事を奪われるというより、自分の役割が一段上に押し上げられる感覚に近いです。
変わらなかったこと:AIが今でも苦手な領域
良いことばかりではないので、限界も正直に書きます。
初期は任せきれず、諦めたこともあります。使い始めの頃は生成されるコードが不完全なことも多く、専門外の領域を完全に任せることはできませんでした。「やりたかったけど諦めた」ことも実際にあります(現在のAIの性能は当時とは別物ですが)。
デザイン領域は、今でも難しい。これは本業だから余計に感じるのかもしれませんが、頭の中にあるビジュアルをAIで意図通りに形にするのは、いまだにストレスが溜まります。文章やコードと違って、デザインは「惜しい出力」の修正指示が言語化しにくい。ここは多くの人が同じように苦戦している領域だと思います。
つまり生成AIは万能ではなく、「言語化できる仕事」には強く、「言語化しにくい仕事」には依然として弱いというのが3年使った実感です。
どうやって慣れたか:スクールなし、毎日触っただけ
学習方法について聞かれることがありますが、正直に言うとスクールにも書籍にも一切お金をかけていません。興味があったので毎日触っていたら、慣れました。
ただし、資格を1つだけ持っています。生成AIパスポートという資格を、かなり初期に会社の費用負担で取りました。率直な感想を言うと、この資格で何かが変わった実感は特にありません。取得した頃といまではAIの性能がまるっきり変わってしまったので、当時の知識の多くは既に古くなっています。変化の速い分野では、資格の知識より触り続けている状態のほうが価値を持つ、というのが実感です。
一方で、自分が独学で済んだのは運が良かった面もあります。振り返ると、コードへの抵抗がなかったこと、分からないことを検索して解決する癖があったこと、業務で毎日使う環境があったこと。この条件が揃わない人が同じやり方で進めるのは、正直難しいと思います。独学で足りる人とそうでない人の分かれ目は、生成AIの学び方の記事で整理しました。
これから始める人に伝えたいこと
同僚に「何から始めればいい?」と聞かれたら、こう答えています。
- SNSや動画で、実際に使っている人を見る。この分野は動きが速いので、書籍よりリアルタイム性のある情報源が向いています
- 気になったことを、その日からAIに聞いてみる。検索の代わりに使うだけで、練習として十分成立します
- PCの基礎体力をつけておく。カタカナの専門用語、ファイル操作、できればコードやターミナルへの抵抗をなくしておくと、活用の幅が段違いに変わります
日本で生成AIを利用したことがある人はまだ26.7%で、「使い方がわからない」人が約4割います(総務省 令和7年版 情報通信白書)。裏を返せば、いま毎日触る習慣を作るだけで、その他大勢と差がつく段階だということです。
まとめ
- 3年使って、仕事は奪われなかった。代わりに手が届く範囲が広がった
- 最大の変化は「気を使って人に聞く必要がなくなった」こと
- 専門外でも及第点が出せる → 一人で完結する仕事が増える → 分析・企画という次のスキルに手が届く
- デザインなど言語化しにくい領域は今でも苦手。万能視はしない
- 独学で済むかは条件次第。学び方の選択肢から自分に合う方法を選ぶのが確実
学び直しに国の補助を使う場合は、リスキリング補助金(最大56万円)と教育訓練給付金(最大80%)の2制度を先に確認してみてください。
ジュソン
IT業界で10年以上働く会社員。ChatGPT登場初期から生成AIを実務で使い続け、独学でのスキル習得と生成AIパスポート取得の両方を経験。社会人の学び直し・リスキリングを実体験と一次データで発信しています。
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